いつものように朝4時起床。
テレビをつけるが、NHKの深夜放送以外は休止中か通販番組。
仕方なしに、iPhoneでネットを見る。
朝4時半を過ぎて、徐々に放送が始まる。天気予報を見る限りでは、晴ではないが問題なし。冷蔵庫のサービス品のミネラルウォーターを飲み目を覚まし、服を着込んで、部屋を出た。さすがに朝5時ではみんな寝ているようで、廊下もエレベーターも静まり返っている。
フロントに行くと、ホテルの人は既に仕事をしているようで、チェックアウトを告げ、ホテルをあとにした。
このホテルは駅の真ん前にある為、通りに出ると既に人は結構いた。
掃除をする人、始発を待つビジネスマン、清掃をしている住民。
まだ薄暗いが、確実に街は動き始めていた。
そんな動きを横目に、一度も使わなかったテントをバイクに結わい付け、エンジンをかける。
そして昨日撮り忘れたトリップメーターをビデオに収め、出発!
ここから先は、十何回と訪れた事のある、なじみの場所。
道に迷う事はないし、万が一迷っても別の道を使って軌道修正が出来るくらいに熟知している。
まずは国道4を南下。まだ朝早いせいで、走る自動車もまばら。
シグナルダッシュも快調で、どんどん距離を稼ぐ。
そのスピード感は心の余裕を感じさせ、自然と歌を口ずさむ。
その曲は「Waltz in Blue」
以前真冬に最南端巡りをした時の、俺の旅のテーマ曲だ。
今回もそのつもりだったのだが、雨に降られ精神的に余裕もなく、iPodを一度も聞く事もなく、すっかし心の奥にしまい込んでいた。
バイクの単気筒のビートと、アスファルトをこする音がアレンジになって、ちょっと下手な口パクを盛り上げてくれた。
ほどなく国道118に出くわし、左折。
ここも走り慣れた道。山間を抜ける道にはなるが、その分景色の変化も楽しめる。
夕べの熟睡で身体の疲れもなく、慣れた道で緊張もなく、朝早く渋滞もなく。文句なしの帰郷。
途中、見慣れた桜の名所をいくつも過ぎる。
その時々の過去の思い出がいくつも過って行く。
どれも満開の桜の思い出ばかり。今は咲いてはいないけれど、記憶の底にはしっかりと咲いている。
そして我ながら思った。
無理せず、泊まった事が良い選択だったことだと。
旅のエンディングには、もってこいの演出だ。
しかもいつも走っている道を、朝早い時間に反対向きに走ると言う新鮮さ。
これはまるで、思い出のタイムスリップ。
決して短くはない国道が、これほどまでに短く感じられるなんて。
あっという間、と言う表現がピッタリなくらいに、順調に進んで行く。
国道118でそのまま水戸へ向かってもかまわなかったのだが、途中国道349へ左折した。
朝のラッシュを少しでも避ける為だ。
ほどなく茨城県に入り、途中、道の駅さとみで最後の休憩。どこかのおじさんが、軽ワゴンから調理器具を取り出し、何かを作っていた。
旅も人それぞれなんだな、と思う。
道中、何人もの旅人とすれ違った。
大きな荷物を抱え一生懸命に自転車をこぐ人。
俺のようにただひたすら、走り続けるバイクの旅。
大間崎で出会った人々のように、ゆっくりと景色を楽しむバイクの旅。
そして自動車で気ままに、赴くままに出かける旅。
この4日間で、色々な旅のスタイルを見てきた。
そんな俺は、相変わらずテント生活を逃す旅でもあったが(笑)
短い休憩を終え再び走り始めると、気温も徐々に上がって行く。
山間で18度近かったのが、19、20度と上がり、22度まで上がっていた。
そして山間を抜け、平地に出る。
丸三日ぶりの関東平野だ。平らなことがこれほどまでに嬉しいのかと、初めて思った。
気づけば出勤ラッシュの時間。何度か、短めに渋滞を繰り返した後、行く先に長い渋滞を見つける。ここから先は、どこを通ろうと、水戸へ向かう自動車が連なる。それでも上手く逸れる手だてはあるはずで、俺はその勘を信じ、国道から左に逸れた。
そして、その気まぐれがこの旅最後のサプライズをくれたのだ!
その瞬間は、道を逸れて5分と経たないうちに訪れた。
フラガールのロケ地との遭遇だ。
劇中で別れの演出をしてくれた、印象深いあの木の橋。
その橋が、この旅との別れも演出してくれている。
思わずバイクを止めた俺は、ビデオに収めた後、「この旅、最後の写真」そうつぶやきながらシャッターを切った。
深呼吸をし、しばしその場と一体になった。
わずかな名残惜しさを感じながらも、再び走り始める。
そこからは海沿いの東海村へ向かい、あとは初日を逆走するだけ。
いよいよ終わりが見えてきた。
原研前でいくつかの渋滞を耐える。
でも焦りはなかった。ここからなら、どれだけ混んでも帰り着けるからだ。
いつもならいらだつ渋滞も、何の苦にもならずに通り過ぎて行った。
ひたちなか市に入ると国道が広がり、渋滞も自然と消えてしまった。
この旅、最後の橋、湊大橋を渡ると、いよいよ水戸市。
そしてわが故郷鹿嶋へ繋がる最後の国道51に合流した!
あとは故郷まで一直線!!
ほどなく大洗のバイパスに差し掛かる。そして太平洋との再会。
日本海は蒼く静かできれいだったが、やはり俺にとっての海は、ここ。
透明度はなく濁っているし、波も穏やかではないが、やはりこの海が好きだ。
そんな事を思っているうちに、国道は海から離れ鉾田市へ突入。
見慣れた畑に心も穏やかで、時間はあっという間に過ぎて行く。
気づけばカシマスタジアムまで来ていた。
そして、思わずガッツポーズ・・・
旅も素晴らしいが、やっぱり故郷は良い。そう感じながら、残りの道程を終えた。
やっぱり我が家が一番だな・・・
データー
出発 朝5時
到着 朝9時
走行距離 192キロ(福島県郡山市→茨城県→茨城県鹿嶋市)
総走行距離 1837キロ
総給油量 65.37リットル
平均燃費 リッターあたり28.1キロ
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