2009年4月17日金曜日

02-03がむしゃら1830キロ、旅最終日 2008/09/04

昨日と同じく、朝4時に起床。

早速天気予報を見て出発しようとTVをつけたが、肝心のニュースがひとつしか見られない。他の局は通販番組。

仕方なしに、ネットで時間をつぶし、朝5時半を待つ。

一局だけの天気予報を見る限りでは、秋田は晴れ、山形は曇り。そして福島や茨城は雨まじりの曇り。

予報はあまり良くない。

もう少し粘ってみようと時間をつぶすが、ネットの予報は6時を過ぎないと更新されないらしく、泣く泣く諦める。

と言いつつも、どうせ2日降られたんだから今日降ったって関係ない、と言うのが本心。

なので天気予報の更新を待たずチェックアウト。

いつものようにテントを結わい付け、昨日撮り忘れたトリップメーターをビデオに収める。

出発は朝6時10分。

昨日夕焼けを写した山は、岩木山。いわきと言う響きは珍しいと思うのだが、考えてみればいくつもの漢字がある。磐城、岩城、石城、巌城、などなど。

その岩木山を背に、南を目指す。

自分を中心にてっぺんは晴れているが、周りの山々を見渡すと、雲とも霧とも言えないものに包まれている。

天気予報が当たりそうな気配だ。

そんな事を気にしながら、国道7を南へ走る。

隣の大鰐町に入るが、もうここから山間の道へ突入。

さっきまでの日の光はなく、影の合間を縫う事になる。

これが思いのほか寒い。

それもそのはずだ。出発時に見えた国道の気温表示は20度あったのだが、今は19度。

ここまで下がる事を考えていない軽装だったので、これ以上ひどくならないようにと願ったが、駄目だった。

隣の碇ヶ関村に至っては18度まで下がった。

しかも日陰な上に風をきって走る為、体感温度は時間が経つごとに低くなる。

だが県境を越え秋田に入ると、少しではあるが改善されてくる。

大館市に入ると、土地がひらけてきて陽も当たり、なんとか頑張れそうな気がしてきた。

そしてその気温差が思わぬ展開を生む。そう、昼夜の気温差が激しく、辺り一面霧に包まれているのだ。

そしてその霧に惑わされ、思いもしない間違いを犯してしまう。

確かに国道7を走れば秋田市に着く。しかしそれは遠回り。途中から国道105へ逸れ、すぐに国道285を走らなければならなかったのだ。

国道7を走り続けてしまった俺は、八郎潟まで行ってしまい、近道の倍近い距離を走ってしまったのだ。

そしてこのミスが、後々思いもかけない出来事をもたらすのだが・・・

さて、八郎潟まで来ると、天気は回復。気温は分からなかったが間違いなく暖かい。

ほどなく秋田市に入る。さすがは県庁所在地。大きな都市、立派な道路だ。流れもスイスイ。

そんな流れに載りつつも、今日の長丁場を乗り切る為にしっかりと朝食をとろうと決意。この時間に開いている店は限られるので「すき屋」に狙いを絞って注視する。が、見つけた店は反対車線側。その面倒臭さに先へ進むが、うっかり国道13へ入ってしまう。これでは内陸に向かってしまい日本海へ抜けない。しかもその国道にも目指す「すき屋」がない。

仕方なく、しばらく走った後右折し県道56へ折れ、海を目指した。結局朝食はどこかコンビニで軽くとれれば言い、そんな風に思って諦める事になった。いつもの事だ(笑)

県道の進行方向、視線の先には高い山がない。これは?と期待して走って行くと、国道7と再会、すぐに日本海に出くわした。

実に5年ぶりに見る日本海。だが、バイクに限って言えば、19年ぶり。

それはバイクで初めての旅、しかもテントを担いでの泊まりがけ。日本海に沈む夕陽を見ようと言う、くだらない理由だった。迷いながらも日本海沿いのキャンプ場に到着し、夕陽を見る事は出来たのだが、これには大きなオチがあった。

確かに日本海ではあるが、その先に能登半島があったのだ(笑)

だから、日本海の水平線に沈む夕陽は、未だに見られていない。今回の旅は、そのリベンジもかねていたのだった。しかし結果は、読んでの通り。今回は雨にやられた。

それにしても夏の日本海は美しい。波が静かで、彼方に浮かぶフェリーもよく見える。路上駐車でもして写真を撮りたい所だが、危ない事はしたくない。だが、せっかくだから海沿いに道の駅があったら寄ろうと決める。

途中反対側の道の駅に止まり、トイレと眠気覚まし休憩を取る。

再び走り始めると10キロもしないうちに、見晴らしの良い道の駅が海側にあったので止まる事にした。大きな風力発電用の風車が目印だ。

なんとここの名前が「岩城」。一日に2度遭遇した同名に、思わず苦笑。

ここでしばしの休憩と写真&ビデオ撮影、そして友人へのメールを打つ。

穏やかな波と、文句なしの快晴。これほどまでに晴男ぶりを発揮したのも久しぶりだ。

潮の香りを満喫した後、再び国道7を南下する。

すぐにコンビニを見つけたので、かなり遅い朝食をとった。

ここも見晴らしが良い。

海から離れる事なく走るその道は、夕方に通ったらどれだけ素晴らしいだろう。いつかその時間に訪れてみたい、そう思った。

その後は、海から離れたり近づいたりの繰り返し。日本海にたどり着いたと言う安心感から緊張の糸が途切れ、何度も眠気が襲ってくる。先ほどのコンビニで買ったガムも効果なし。コーヒーを飲む為に何度か止まるが、いっこうに眠気はとれない。

そして由利本荘を離れ、隣の山形県に突入。

山形と言えば、一昨年の春に桜の旅で訪れるのを断念し、今年も高速道路の事故の為に泣く泣く諦めた場所だ。その山形に、やっと入る事が出来た。しかも北から。

感慨深いものがある。

だがそれでも眠気はさめなかった。そこで俺はひとつの事を考えた。

今日は新潟まで行って引き返すつもりだったのだが、ここから内陸へ抜けてしまってはどうだろう?と。

気分は半々だった。

しかしひとつの想いが、それを思いとどまらせる。

その想いとは、昨日の出来事にかぶるのだが・・・

昨日の大間崎は、晴れていれば北海道を拝む事が出来たはず。しかしあいにくの曇天。それが叶わなかったのだ。もし見られていれば、北海道への憧れが沸々とわき上がったに違いない。

それと同じ事を、考えたのだ。

そう、せめて佐渡島が見える場所まで行こう、と。

でもその想いとは裏腹に、道は内陸へと曲がって行く。

さっきの迷いが再び襲ってくる。やっぱり内陸に行ってしまおうか・・・と。

でも、でも、こんなに晴れているんだから、頑張ろうじゃないか!そう言い聞かせ南へと下る。

そして再び日本海に再会。水平線の彼方に何やら島影が見えてきた。

路肩に止められる余裕のある場所を見つけ、iPhoneを取り出す。

現在位置を表示させ、画像を縮小して行くと・・・それが佐渡島である事がはっきりした。

俺は迷う事なく、海側へ渡り、ビデオと写真に収めた。そして次の旅の目標が見えてきたのだ。

それは、信越地方を回り、佐渡島へ行くこと。次の旅は是非そうしようと決めた。

そしてその感動と決意が、眠気を覚ましてくれ、再び走る勇気をくれた。

あとちょっと走れば、新潟県だ。それでこの旅の大きな目標は達成される。

その瞬間はすぐに訪れた。そしてそれと同時に、国道7も内陸へ逸れる。

とうとう日本海ともお別れだ。

名残惜しいが、この旅は限られた時間の中で成り立っている。諦めるしかないのだ。

国道7は、山間を縫って進んで行く。気温はさらにあがり、気づけば29度まで上がっていた。暑いはずだ。しかもいっこうに陽の陰る気配がない。

嬉しい方へ、天気予報が外れたようだ。

途中、道の駅を見つけたので止まる。

なんだか顔がほてるな、と思いトイレで鏡を見て額然・・・

日焼けを通り越してやけどのように真っ赤なのだ。それは顔だけではない。昨日の雨でずぶ濡れのグローブをしなかった為に、両手の甲がまだらにケロイド状になってしまっていた。

これじゃ、眠気も襲ってくるはず。

冷やす為に念入りに顔を洗い、もう一度鏡を見るが、まさに焼け石に水。

水分が乾いたおかげで、皮まで剥けてしまう始末。

これはもう諦めるしかない。

気を引き締め、再びバイクを走らせる。国道7から国道290へ逸れ、すぐに国道113へ合流。ここからは山を抜け内陸に向かうのだから、と初日・二日目のようなワインディングを期待していたのだが、それはあっけなく裏切られた。

山間を縫うように、でも少しずつ高度を上げて行く道だったのだ。

そして俺はある事を思い出す。

それは19年前の、初ロングツーリングでの出来事。その帰り道にやはり日本海側から内陸へ抜けたのだが、その時も似たような地形だった。

どうやら俺の旅は、どこかでリンクしているらしい。

もっと山間を抜けると想像していた俺にとって、このルートはあまりにもあっけなかった。

すぐに開けた土地に出てしまったのだ。

そしてその油断が、またしてもトラブルを生む。

それは米沢市に入ってすぐの事。

曲がる場所を間違えたのだがいつもの悪い癖で「なんとかなるだろう」と適当に走ったのだ。そして気づいたらぐるぐると回っていた。

慌ててiPhoneを取り出す。地図を開き現在位置を割り出すと、思った通りだいぶ離れてしまっていた。

もう一度地図を拡大し、これから通るべき道を把握し、再び走り出す。

それにしても今日は間違いが多い。700キロを走破しようとしているのに、この状態。すでに日没までの帰宅は無理となっていた。

それでも進むしかない。

ガソリンがだいぶ少なくなってきたが、この先は山形と福島を結ぶ峠道。入る前に補給しなければとガソリンスタンドに止まる。看板を見ると、峠前ギリギリ最後のスタンドだった。

給油をお願いして、バイクを降りようとしたのだが、足がもつれてバイクに引っかかり、倒してしまった。

どうやら疲れが相当たまっているようだ。

トイレを借り、トリップメーターをビデオに収めた後、再び走り始める。

目の前の峠には、深くたれ込める雲。この先、もう晴れ間は期待出来ない。日没も近づいている。

峠に入ると、闇が迫ってくる。と同時に寒さが包む。

道路の気温表示板を見ると、18度。今朝出発時の気温と同じだったが、霧と言う湿気に包まれている今、体感温度はそれ以下だった。身体がブルブル震えだして止まらない。

不幸中の幸いなのは、雨が降っている訳ではないと言うこと。

しかし寒いに変わりはなく、猛スピードで走り抜けるトラックにあわせてのスピードは身体に堪えた。

そしてひとつの心配事が頭を過る。

この先、高速道路に載って、山間を抜け帰るのが一番早い帰宅。しかしこの寒さでは身体が持たない。初日に買ったカッパはボタン留めだから、高速道路ではバラけてしまって役に立たない。

どうしよう?走りながらしばらく悩んだ。とりあえず高速道路に載るかどうかは走りながら考える事とし、まずはちゃんとしたカッパを買おう。

長いトンネルを二つ超え、そのあといくつかのトンネルを超える。

いつもは不安定になって好きではないトンネルがこれほどありがたく感じた事はない。

暖かいのだ。このまま入っていたいくらい、オアシスに思えてきた。

しかしそうはしていられない。先を急がなければ。

峠道はやがて下り始め、段々と気温も上がってくる。

しかしカッパを買う決意に変わりはなく、ほどなく福島市街地へと入った。

町は帰宅ラッシュ。渋滞の列。一向に先へ進めず気分はめげるばかり。ホームセンターを見つけるも反対車線なので諦め、気づけば国道4に載っていた。

バイパス並みに広く、町の中心部から離れ気味の国道は、沿道にホームセンター等ある訳もなく、どんどん南下して行く。

ここでふとした事を思い出す。

徹夜明けの疲れた身体で旅から帰宅しようとすると、いつもこの先の福島から茨城の間は、ヤバいくらいに眠気が襲ってくる。

今は眠くはないが、あと4時間そうならないと言い切れるだろうか?

さっきのよろけもそう。気分はハイでも、身体は正直。

このまま帰っては、危険なのでは?

となると、選択肢はひとつしかない。

故郷まであと200キロを残し、ここで宿泊すると言う方法。

何とかなるだろうと信じる自分と、無事に帰らなければこの旅には意味がないと考える自分。

いつもなら前者が勝るのだが、今回は違った。

もう決めた!

宿泊しよう。

そうとなれば行動は早い。

出来る事なら、ホテルの多い町が良い。

そして最寄りの郡山市中心部へバイクを走らせた。

再びiPhoneを取り出す。これほどまでに便利な旅アイテムが、今まであっただろうか?購入してからわずか1ヶ月半の、初めての旅でここまで活躍してくれるなんて。もう二度と手放せないだろう。

現在位置を割り出し、駅の近くである事を確認した後、ホテルを検索した。

予算に限りがあるのでHPを見ると6000円で止まれるビジネスホテルを発見。

今日の宿はそこだ!

泊まれるかどうか、まだ分かっていないのにこの妙な自信。

でもこういう時の俺の自信は、結構鋭い。

案の定、ホテルには空きがあり、そのままチェックインとなった。

それにしても、何十回と訪れた福島だが、泊まるのは初めてだ。

今日は、日記を記したらあとはゆっくり寝て、明日に備えよう。

食事もコンビニでいいだろう。



データー

出発   朝6時10分

到着   夜7時頃

走行距離 562キロ(青森県弘前市→秋田県→山形県→福島県→福島県郡山市)

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